温泉掘削プロジェクト
温泉郷からは、幾分離れた萩。
萩本陣の会長松村勇は、温泉掘削には困難であろう事は承知しながらも「萩市の活性化のために、地元のために、どうしても温泉が欲しい」
「サービス業の最たる仕事は、人を健康にすること。うちの温泉に浸かって健康になり、家族のため、世のために一生懸命働いてもらいたい」との思いに駆られ、温泉掘削に挑みました。

- 2,000メートル級のボーリングを行うために、世界各地より油田掘削の技術者を招聘し挑戦しました。
1995年7月10日、掘削深度2,350メートルより、47度のお湯が噴出。
当時の温泉ボーリングの深度の記録を破り、日本記録(現在は、日本第2位)となりました。
ボーリングコアは、萩の地質に関する説明書きと共に、湯上がり処「まっちょる」に展示致しております。

- 萩市および周辺地域は地質学的に大変興味のある地域です。
萩城址の背景である指月山は約1億年前の花崗岩からなっています。田床山は白亜紀の火山岩から構成されています。
そして萩沖には世界で類まれな第四紀の溶岩平頂丘(ようがんへいちょうきゅう)である相島、羽島、尾島、肥島などの美しい島があります。
萩市松本地区の地質は中生代白亜紀(約1億年前)の火山岩とそれを貫く花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)からなります。これらの火成岩類は日本列島がかつてアジア大陸の東縁にあった時に大規模なマグマの活動によってできたものです。
大陸の一部として形成されたこれらの火成岩は、約1500万年前に、アジア大陸東縁の一部が分裂して、それが移動することによって現在の日本列島を形成しました。 したがって、松本地区の基盤をなす岩石は、日本海の向かい側に位置するアジア大陸の一部として誕生したものなのです。
ホテル「萩本陣」の温泉水は松本地区の基盤をなす花崗閃緑岩を掘削してくみ上げられています。
掘削深度は2,350mにもおよび、このように温泉として深くまで花崗閃緑岩を掘削した例は、日本ではわずかしかありません。
掘削はカナダの技術者が招聘(しょうへい)して行われました。 地下深くでは、高い静水圧がかかっており、地表に持ち上げられると 圧力が開放されてお皿のように割れることがあります。
これをディスキングといいます。
とくに1,100m以深に集中して発達しており、その部分では地圧が著しく高かったことが推定されます。
これを掘削された花崗閃緑岩(1,300m)のコアや顕微鏡写真を示します。 コア中には様々の形をした苦鉄質包有岩(くてつしつほうゆうがん)が見られ ます。
角閃石を含むきれいな岩石です。山口大学における温泉水の同位体や水質と分析結果から、温泉水の起源は、氷河期に涵養(かんよう)した地下水と古い時代の海水の混合したものと推定されます。
山口大学大学院理工学研究科 教授 田中和広
山口大学大学院理工学研究科 教授 今岡照喜






